川村清雄展 at 新潟市美術館

川村清雄展を見てきました。本日(12月20日)が最終日。どうしていつもぎりぎりにしか来れないのだろう。

 

川村清雄展(新潟市美術館)1

川村清雄(1852-1934)は江戸の生まれで、祖父は初代新潟奉行の川村修就です。清雄は明治の最初期にアメリカに渡り、その後フランス、イタリアで絵を学んだ近代日本洋画の草分けの一人です。

清雄の描く絵は、洋画とも日本画ともつかないミステリアスな作風のものが多いです。

水の都ヴェネチアの風景、滝や波など、水の描写が特に印象的で、水墨画みたいな雰囲気もあるんですけど、何というか、やっぱり「油絵」なんですよね。どんよりとした曇り空なんか、妙に新潟の天候を思い起こさせるのもおもしろかったです。

川村清雄展(新潟市美術館)2

じっくり見てると、すぐに日が暮れます。表の看板だけ見て帰ったわけではないですよ(笑)。いいとこだな、って帰り際にしみじみ思いながら。

今年のうちにあと一回、おすすめ文学書きます。クリスマスにちょうどよさそうな子供向けの古典をご紹介しますので、近いうちにまたお目にかかります。

それでは。

 

ラファエル前派展を見てきました。

リバプール国立美術館所蔵の作品を集めた 『英国の夢 ラファエル前派展』 を見てきました。

今年2015年に開館30周年を迎えた新潟市美術館にて、7月19日のリニューアルオープンと同時に開催されていたラファエル前派展。新潟での展示はいよいよ9月23日で終了ということで、どうにかこの連休中に滑り込むことができました。

ラファエル前派展(新潟市美術館)

↑よく晴れた午後、≪いにしえの夢――浅瀬を渡るイサンブラス卿≫に迎えられ入館。作者のミレイ(John Everett Millais, 1829-1896)はラファエル前派主要メンバーの一人です。

ラファエル前派およびその周辺作家の作品は、絵のことがあまり詳しくない僕のような人間でも親しみやすいものが多いです。ざっくりと言えば、とにかくきれいです。

描写が緻密で、人物(主に女性)を描いた作品が多いのですが、その表情や衣服はもちろん、背景の細部にいたるまでストイックに向き合い描ききっている、という感じでしょうか。

人も、物も、自然も、分け隔てなく、とてつもない量の愛情を注いで描かれている――どの時代のどの絵も或いはそうなのかもしれませんが、単純にそう感じました。シェイクスピアやアーサー王伝説、ギリシア神話など、有名文学をモチーフにした作品も多数ありました。

ジョン・キーツの詩「聖アグネス祭前夜」を題材にした、マクリース(Daniel Maclise, 1806-1870)の≪祈りの後のマデライン≫が、個人的にいちばん良かったです。この絵だけ見るためにリピートしました。売店でポストカードも買いました。

新潟市美術館

楽しい時間はあっという間に過ぎ……閉館時間、外は日が暮れかけていました。もうすっかり秋です。

リニューアル以来初めての来館でしたが、その前は2014年の「洲之内徹と現代画廊」展の時におじゃましていました。あれからどこがどう変わったのか、記憶が無くてよく分からなかったのですが、プロフェッショナルな工夫が随所になされているらしいのです。

(新潟日報の文化欄 〈2015年9月16日, 朝刊〉 に、リニューアルについての詳細記事が載っていました。興味のある方はご参照ください。)

 

ラファエル前派展、10月3日からは名古屋市美術館で開催されるようですね。絵が好きな方は僕が言うまでもありませんが、文学が好きな方も楽しめるイベントだと思います。是非とも足を運んでみてはいかがでしょうか。

僕はこれから、キーツの詩を図書館で借りて読んでみます。うまく消化できれば後ほど記事にしたいなと思っています。

それでは、本日はこれにて。