ようやく立てたスタートライン

先日行われた英検の二次試験に合格し、念願の1級を取得することができました。ブログの更新がここ数か月滞っていた背景で、一応それなりに頑張ってました。

5年前に受けた二次試験で自身のレベルの至らなさを痛感し、それきり何事もなかったかのようにのらりくらりと過ごしておりました。が、やはり悔しさが燠のようにくすぶり続けていたのでしょう。己の本心から逃れることかなわぬと観念し、昨年の後半から勉強を再開。

特に差し迫った事情はない(あるとすれば検定料が高い)にせよ、これが最後のチャンスだと自分に言い聞かせていました。しかしブランク明けの付け焼刃で臨んだ本番は、またしても二次で不合格。……さもありなん。中身のない約束は破ってこそ意義が在ることと知り、初めて一次試験免除資格を利用してのリベンジへ。

そして三度目の正直となった結果は35/40点(内訳9・8・9・9)と、前回の不合格時よりも11点アップ。少なくとも現段階としては、これ以上は望むべくもないスコアでした。通知が届いた時は、本当に嬉しかった。そして、ようやくここが僕自身のスタート地点だとも感じました。

同じフィールドで日々努力しておられる皆さんの参考になるような何かをお伝えしなければと思いつつ、自身ネックだった二次試験は、対策というよりは開き直りの姿勢がどうやら功を奏したとしか言えないのです。スピーチ例文集に載っているような立派なお手本など、いくら覚えようとしても最後までちっとも頭に入ってきませんでした。

結局のところ、大切なのは「社会への関心度の高さ」なのだと感じました。どんなトピックを振られても、自分が心から考えたり信じたりしているものを持ち合わせていない限り、そもそも話すことなど何もないからです。希望や憤り、喜びに悲しみ、話したいことがいくらでも溢れ出て来るほどに、まずはこの世界を愛さなくては(照)と思いました。

スピーチお決まりの構成の型とか、与えられた時間内でそれをバランスよく展開する感覚への慣れとか、最低限のことは押さえておく必要はあると思います。しかし僕が最も注力したのはそういった技術的なことではなく、まずは日本語でいいから、自分のオリジナルの意見が次々と具体的に浮かんでくるような思考状態に自身をもっていく、というものでした。

英語日本語にこだわらず、国内外のニュースを理解できる範囲でたくさん聞いたり読んだりして、あとは自分が心の底から思ったことだけ(他人の意見はNG)を、その時点で自分が知っている語彙や文法だけを使って短いワンセンテンス単位から瞬発的にノートに書きためておく(あとで復唱する)。対策として、まあ頑張ったかなと言えるのはそのくらいです。

肝心な場面で中学英語しか出てこないとか、内容がありきたりだとか、そんな自分に引け目を感じる必要もなく、むしろその単純かつ直接的過ぎる言葉づかいで自分の思うところを堂々と話し切ってみればいい。この混沌とした世の中に対して、とにかく自分の本当の気持ちを伝えなくては!

と、漠然とした感情論で押し切ろうとするあたりはいかにも僕らしく、やはり皆さんの参考にはなり得ないこと、どうかお許しください。

英語の勉強は、これからが本番です。まだまだ自信もなく、今さらやめるには最も中途半端なところに立っているという確かな実感が、今の僕を奮い立たせてくれています。

もちろん、小説や文学作品紹介の記事も、これからちゃんと書きます(笑)。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは。

 

英検1級、二次試験にて堂々の不合格

2020年10月、英検1級の一次試験に初めて合格しました。そして11月8日の日程で、準備も慌ただしく二次試験を受け、本日、不合格の結果を知りました。

まさに今の僕の実力&予想通りの結果で、残念ではあるけれど妙に納得しています。ご参考までに、スコアは40点満点中24点、その内訳も至極もっともな感じでした(スピーチ5・インタラクション7・文法と語彙6・発音6)。

明らかに、このスピーチの5点が足を引っ張ったわけですが、身に覚えがありすぎたので、ありのままにご報告します。同じ苦難を経たみなさんにご笑読いただき、こんな奴もいるのだからと勇気を与えることにでもなれば、これ幸い。

結論から言うと、スピーチの持ち時間である2分を自らぶった切って中断した、というものです。こんなトピックで話せたらいいな、と準備していたヤマがことごとく外れ、苦し紛れに選んだ題材だったとはいえ、それ以前の問題でした。

緊張や動揺は、思ったより無かったのです。四十近くにもなると、妙に図々しくなるようです。諦念というやつでしょうか。口から出任せの、内容の薄い意見をぽつらぽつらと語り、早くもネタが尽きかけてきたと観念するや否や、集中力やら忍耐やらの糸が、ふっと切れたような気がいたしました。

時間は、まだ1分を過ぎたくらいだったと思うのですが、Well, I guess this is the end of my speech.(さて、私のスピーチはこれにて終わりのようです。)と静かに言い放って、そこで終了。自分でも、おや?と思いましたが、何故だか怖いくらい落ち着いていて、この奇行を以て堂々と締めくくったのを覚えています。

その後の質疑応答については、特に語ることはありません。スコアを見る限り、極端に悪くもないようですが、いかんせんこちらの話している内容が薄いのと、おかまいなしに適当にしゃべり続ける軽薄な自分を心の底で面白がっていたのを、かすかに記憶しています。

緊張しすぎたのが一周して、変な方向に肝が据わってしまったのかな、とも思いますが、とにかく不思議な感じでした。試験には落ちましたが、新しい自分を発見することができました。実人生において、せいぜい有効活用しようと思います。

今はひとまず、ほっとしています。また小説を書ける、という喜びだけです。次回も諦めずにチャレンジ! と力強く断言する気はさらさらありません。人生そのものを圧迫する準備の大変さを思うと、もう二度と御免こうむりたいのが本音です。嫌なものは嫌と言い張るおじさんを、どうか笑ってやってください。

それでもきっと、いつかまたチャレンジするのだと思います。気負わずに、マイペースで。同じ試験を受けたみなさん、本当にお疲れ様でした。結果はそれぞれだと思いますが、どうか今回の僕の奇行に免じて(笑)、ご自身のこれまでの努力をご自身で労ってあげてくださいね。

それでは。

追記:こんな僕でしたが、3度目の二次試験チャレンジで合格しました!

ようやく立てたスタートライン