ホールケーキの夢 ~Merry Christmas~

一日遅れの、ささやかなクリスマス。

ぬいぐるみ(親子)

まだホールケーキを知らぬ小さな息子は、苺が一つきり乗ったショートケーキを喜んで食べてくれた。

――うまいなあ。父ちゃんは食べないの?

――ありがとう、私はいいんだ。若い頃、嫌というほど食べたからね。

ぬいぐるみ(執筆)

息子を寝かせてから、私は再び仕事に取りかかる。

物語を創るのが、私の貧しき生業である。

息子にたくさんケーキを食べさせてやるためなら、他の仕事をした方がいいに決まっている。

しかし私は、今日も果てしない空想を描き続ける。

我が子から、ホールケーキの現実を遠ざけてしまってでも。

ぬいぐるみ(苦悩)

知らぬことは、幸なのか。

求めることは、罪なのか。

分からない。

だが、私にはこれしかない。

今はまだ、心からお前に自慢できる仕事ができていなくても。

今はまだ、お前の無邪気な寝顔を静かに見守ってやることだけが、私の誇りであり、救いだとしても。

ぬいぐるみ(安眠)

どうか、いい夢を見ていてほしい。

夢を見ているやつは、いい顔をしている。

お前はいつも、私にそう気づかせてくれる。

私は、与えられてばかりの父親だ。

ぬいぐるみ(親子安眠)

少しだけ、私も眠ろう。

私にも、お前と同じ夢を見させてほしい。

私だけの夢ではないから、ずっと見ていたいと思える。

私だけの人生ではないから、これからも頑張ろうと思える。

その思いが絵空事でないことを、私は証明したい。

お前のたった一人のサンタさんは、今年も手ぶらでここにいる。

でも来年こそは、でっかいホールケーキを、二人で心ゆくまで食べ散らかそう。

 

※フィクションです(念のため)

 

今年も一年、ありがとうございました。

それでは。

 

 

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