電気毛布やめます。

先月までの大雪の日々が遠い昔のことに思えてしまうくらい、最近はずいぶんと暖かくなりましたね。

この冬は特に寒かったので、人にすすめられて電気毛布を使って寝ていました。これまで三十数年間、ほとんど使ったことがなかったのですが、すっかり気に入りました。

冷え込む夜ふけ。

布団にもぐりこんだ時の、肩から足先まで一瞬にして温もりに包まれる、あの神々しいまでの(笑)快楽が病みつきに。思わず「ほほぅ」と声が漏れます。

3月中旬になっても、高温モードでがんがんに温めてからでないと布団に入れない。そうして大抵は高温のまま寝落ちして、明け方に寝汗びっしょりで目が覚める、その繰り返しでした。

電気毛布といえば、この文学作品です。


眠れる美女 (新潮文庫)

男の盛りをとうに過ぎた老人が、秘密の宿屋で若い娘と一つの布団で静かに過ごす話で、川端文学の十八番といえる頽廃的なエロティシズムがふんだんに描かれている作品です。

娘は強力な眠り薬を飲まされ、一糸まとわぬ姿で客の老人の隣で眠っています。朝になって老人が帰るまで、決して目を覚ますことはありません。

そうなると、冬場は風邪を引かないかが心配ですね。そこで、自分で布団をかけ直したり服を着たりできない女の子のために用意されているのが、電気毛布なのです。

この電気毛布、アメリカ製のダブルサイズで、スイッチが二つ付いているというスグレモノ。

これなら女の子の側はつけっぱなしにしておいて、老人の側を自分で入れたり切ったりできる。女の子が暑そうにしていたら「弱」にしてあげることもできるかもしれません(そこまでの機能があるかは作中では不明)。

しかしこんな眠りを長く続けていたら、やはり身体を壊すのではと不安になります。人間に本来備わっている保温機能みたいなものが失われていきそうで。

それでも、一度使うとやめられない。

ブンガクの影響か分かりませんが、電気毛布はなかなかに人を惑わす魔性のアイテムだなと思ってしまいます(笑)。

要するに、「弱」に落とすかスイッチ切って寝ればいいんです。それだけの話なのですが――今朝、僕は電気毛布をきれいに畳んで、押し入れにそっと仕舞いました(次の冬も使う気だな)。

春は、すぐそこに。

それでは。

 

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