この前、古本屋さんで何気なく手に取った一冊の岩波文庫。
ドイツ後期ロマン派の作家シャミッソー(Adelbert von Chamisso, 1781-1838)の『影をなくした男』という物語を、今ちょうど読み始めたところです。
まだ最初の方しか読んでいませんが、面白そうですよ。
物語の序盤、灰色の服をまとった奇妙な老紳士が出てきて、ポケットからいろんな道具を次々と出しております。本人いわく、「どんな錠前でも即座にあけられる魔法の鍵」とか、「ひろげるだけで食べたい料理が手に入るナプキン」とか、不思議な道具が不思議なポッケにたくさんつまっているようです(笑)。
――ドラえもんの源流の一つ、ここにあり? 検索してみると、やっぱり何人もの方が指摘していました。「どんな錠前でも即座にあけられる魔法の鍵」は、さしずめ「通りぬけフープ」といったところでしょうか。
しかし今から200年前のヨーロッパでこんな小説が書かれていたんですね、全然知りませんでした。
主人公の若者は、自分の「影」と引き換えに、例の老紳士から「幸運の金袋」という不思議な道具を手に入れるのですが、どうやらこれから、この若者の運命が大いに狂いはじめるみたいです。
「影」というのは、何かの比喩なのでしょうか。その辺はまだ何とも言えませんが、これからまたちょっと続きを読んでみようと思います。
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↓出典はこちらでした。ご興味のある方は読んでみてくださいね。それでは。
(シャミッソー 作/池内紀 訳『影をなくした男』岩波文庫, 1993年第20刷)