僕にもツナガりました。

2016年初になりますが、新潟市美術館へ行ってきました。

今回は、企画展の「アナタにツナガル展 (2. 13~4. 10)」と、コレクション展の「悪い絵?展 (1. 22~4. 3)」を見てきました。

企画展では、「パン人間」のパフォーマンスで知られる折元立身さんの作品が印象的でした。特に、実のお母様を介護する日常のシーンをそのままアートの素材にするところには、衝撃を受けました。

映像作品に見入りながら、僕自身、将来自分の親をこんなふうな気持ちで介護できたら楽しいだろうな、などと思い、心がじんわりと温かくなりました。

その後続けて見たコレクション展「悪い絵?展」では、自分が最近見たり聞いたりして興味をもっていた作家の作品が思いのほか多くあって、うれしい驚きでした。

例えば、パウル・クレーのモザイク画。これは最近読んだ川端康成『古都』にその名が出てきましたし、また新潟市出身の洋画家・安宅安五郎によるルドンの「花」の模写は、これまで画集で何度も見ていて、今回ようやく実物を見ることができました。

まさに自分の想い・記憶に「ツナガル」ことのできた、すてきな展覧会でした。お近くの方は是非、足を運んでみてはいかがでしょうか。

企画展、コレクション展の日程はそれぞれ異なりますので、新潟市美術館のホームページで展示スケジュールを確認してみてくださいね。

それでは。

 

シャミッソーの『影をなくした男』を読んでいます。

この前、古本屋さんで何気なく手に取った一冊の岩波文庫。

ドイツ後期ロマン派の作家シャミッソーAdelbert von Chamisso, 1781-1838)の『影をなくした男』という物語を、今ちょうど読み始めたところです。

まだ最初の方しか読んでいませんが、面白そうですよ。

物語の序盤、灰色の服をまとった奇妙な老紳士が出てきて、ポケットからいろんな道具を次々と出しております。本人いわく、「どんな錠前でも即座にあけられる魔法の鍵とか、「ひろげるだけで食べたい料理が手に入るナプキンとか、不思議な道具が不思議なポッケにたくさんつまっているようです(笑)。

――ドラえもんの源流の一つ、ここにあり? 検索してみると、やっぱり何人もの方が指摘していました。「どんな錠前でも即座にあけられる魔法の鍵」は、さしずめ「通りぬけフープ」といったところでしょうか。

しかし今から200年前のヨーロッパでこんな小説が書かれていたんですね、全然知りませんでした。

主人公の若者は、自分の「影」と引き換えに、例の老紳士から「幸運の金袋」という不思議な道具を手に入れるのですが、どうやらこれから、この若者の運命が大いに狂いはじめるみたいです。

「影」というのは、何かの比喩なのでしょうか。その辺はまだ何とも言えませんが、これからまたちょっと続きを読んでみようと思います。

ご興味のある方は読んでみてくださいね。

影をなくした男 (岩波文庫)
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それでは。