6月といえば、来る19日は太宰治を偲ぶ「桜桃忌」。
忌日名のもとになった短編「桜桃」は、読んだことのある方もたくさんいらっしゃると思います。
酒場で出された桜桃の実(さくらんぼ)を、「食べては種を吐き、食べては種を吐き、」……作中の印象的な描写ですが、そんなに不味そうに食べるなら止せばいいのにと思って読んだ、遠い昔を思い出します。
僕の生家の小さい庭にも桜桃の木があって、5月中旬あたりから点々と赤い実を付けます。
見た目はおいしそうなのですが、売っているものと比べて小さくて、酸っぱくて、味も香りもうすい。でも子どもの時は夢中になって背伸びして、取れるだけ取ってその場で食べました。一人さくらんぼ狩りです。
さくらんぼって、食べ始めると止まらなくなります。
皿に盛ったら盛っただけ、木になっていたらなっているだけ、食べては種を吐き、食べては種を吐き……美味いのか不味いのかも分からなくなって、それでも何かに憑かれたように延々と食べ続けてしまう。
忘我の境地へと誘う、禁断の果実。
でも高価だから、悟るほどに食べられないのが現実です(笑)。
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それでは、今日はこれにて。